大腸がんが増えていると聞きましたが本当ですか。
食生活の欧米化などが要因となり、大腸がんは増加しています。下記のグラフでもわかるように、当院では、大腸がんは年々増加し、2005年のデータで初めて1年間での発見大腸がんが100例を超え、胃がんの発見数をも上回る結果となりました。
大腸がんの症状とはどのようなものですか。
腹痛や腹部膨満感、下血(出血)、下痢や便秘といった便通異常があげられます。これらの症状が出現するのは、大腸がんの場合、かなり進行してからのことが多く、早期がんは症状がないと考えたほうがよいでしょう。ちなみに当院で発見した大腸がんの発見動機はグラフにあるように、検便が約3割、自覚症状が約6割でした。
大腸がんにならないために、または早く見つけるためにはどうしたらいいですか。
高脂肪食をさけることや野菜の摂取が予防につながるとのデータがありますが、確実な方法とは言えません。たとえガンが発見されても進行したものでなければ、大腸がんの場合は予後がよく、治癒が期待できるため、自覚症状のない時期に、検診(検便)や大腸検査を積極的にうけることが重要と考えます。
検診で便潜血陽性といわれました。もう一度検便を行い、陰性になれば二次検査を受けなくていいですか?
検便は、大腸ガン検診の一次検査として非常に有用性の高い検査ですが、1回の検査での陽性率は、早期がんが約20%、進行がんが約70%、(複数回で約85%)です。
つまり、採便状況や病変の種類により、病変があるのに便潜血が陰性となるケースが存在します。従って、2回目の便潜血が陰性になっても病変がないという保証はなく、1回でも陽性なら、(特に今まで検査を受けたことのない人は)大腸カメラか注腸検査を受けることが必要です。
大腸がんの発見に検診は有効ですか?
大腸がん検診は、大腸がんの死亡率をさげているという確実なデータがあり、厚生労働省の「新たながん検診手法の有効性の評価」でも十分な根拠があると認められています。上記グラフにあるように、検診で発見された大腸がんは非常に成績がよく、医療機関(外来)で発見された大腸がんとは、生存率にかなり差があるようです。
大腸カメラは非常につらいと聞きますが、本当でしょうか。
確かに大腸カメラをうけた患者さんで、一部(高齢、高度便秘、やせ、腹部手術の既往など)に苦痛を感じられるケースが存在するのは事実ですが、かなり個人差があります。
実際、当院で実施したアンケート(下記参照)では、検査の苦痛が非常にあると答えた人は約1割で、初めての人の6割以上は、思っていたより楽と答えられています。苦痛を軽減するため、検査時に鎮痛剤を使用するなどの方法もありますので、医療機関で相談してみてください。
大腸ポリープはすべてとる必要があるのでしょうか。
大腸ポリープには、大きくわけて2種類のポリープがあります。1つは、過形成ポリープで、これは、将来がん化ことはなく、出血の原因にならなければ、通常治療の必要はありません。もう一方は、腺腫といわれるポリープで、こちらはサイズが大きくなったり、がん化するものもあり、一般には5mm以上のものが治療対象とされることが多いです。